楽園への誘い

これは楽園へのお話。

穏やかな一日の始まりと言うべきにふさわしい。
しっとりとした朝もやに覆われた午前六時。
口数は少ないながらもどこか高揚した面持ちで会社を出発した宮崎と二人。
本格的に渋滞する前の都心を抜け一路きた上。
いつの間にか朝もやも晴れ、直視できないほどの力強い日射しを真正面に浴びながら東北道をひた走る。
これから幾度となく走りなれた道になるであろう。
そんな想いを巡らせながらハンドルを握る。
助手席の宮崎もまっすぐ前を見据えてるようだ。
穏やかに右にカーブを切る。
大きな川を渡る。
特徴的な赤い橋を渡ると徐々にスピードを落とす。
高速道路ともお別れだ。
隣町にあたるこのインターから目的地「楽園」までは30分ほど。
しばらく市街地を淡々と走る。
大型店舗、ファミリーレストラン、街道沿いにある日常をやり過ごす。
するといつの間にか見渡す限りに広がる農村地帯。
収穫が近いのであろう黄金色に輝く稲穂が美しい。
さあ、あと少し。
目印となる立派な瓦が重なった屋敷が見えてきた。
カーブミラーの先を鋭角に右に慎重に曲がったつもりだった。
ズリズリとダンプの荷台に積んであるユンボが滑った気がした。
「ん?」
ダンプ?ユンボ?なんか楽園に似つかわしくないキーワード?
でもこれがぼくらの楽園への始まりなのである。

IWAO

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